信号機もコンビニもない町での「つどい」


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 古座川町は、町というより村と呼んだほうがピッタリくる。町の面積は山林がほとんどで実に広大だ。この町には信号機もなければコンビニもない。ここを流れる古座川は県内屈指の清流で、約50種に近い生物が生息している。

 

 職場を退職した洞佳和さんが参院選挙区候補だった僕とで「党綱領と日本の未来を語りあうつどい」を始めたのは、参院選挙を半年後に控えていた2013年の1月のこと。隣の西牟婁郡すさみ町の経験に学んで「つどい」をやろうと決心したものの、どういう展開になってゆくのか、初めての取り組みで不安の方が大きかった、とふり返る洞さん。

 「つどい」をするといっても、まずは場所を借りないといけない。洞さんは町で一番奥の集落の区長宅を訪ねて、日本共産党の「つどい」をするので会館を貸してほしいと申し込んだ。区長は、「そんなんいままでにないけど、かまんで」といってくれ、「わしも人集め手伝うよ」と申し出てくれた。早速、地区委員会に頼み案内チラシを作ってもらい、それを20戸すべてに配って歩いた。

「つどい」当日、区長は放送までかけてくれ、ご夫婦もふくめ19人が会館に集まってくれた。洞さんが司会と町議会のことを報告、僕は共産党について話し、懇談に移った。そこでは、年ごとに人口が少なくなってゆく不安や危機感が共通して出され、地域社会が維持できない深刻な事態や、山林事業の衰退をなんとかしてほしいという切実な声がいっぱい出された。 



それから今日まで、「つどい」は町内のすべての区を一巡し、現在2巡目に入っている。先月の「つどい」で48回実施したことになる。参加者ゼロも2会場あったし、1人というときも2会場ほどあった。これまでの総参加者は260人で、人口が2700人だから約1割の住民が参加したことになる。これは驚異的な数字だ。

「つどい」を通じての入党者は、党大会後の4人をふくめて約30人、党員も「赤旗」読者の有権者比も過去最高を更新している。国政選挙比例代表の得票率も、「つどい」開始前の7%台から2017衆院選挙では12%台へと前進してきている。

先日、少し前に「赤旗」読者になってくれた方から「赤旗手帳」の注文があった。訳を聞くと、「憲法9条の改悪に反対やけど、いままで憲法って読んだことがないんや。手帳には載ってるて書いてあったから」だという。

また、先日「立憲民主党と共産党と何が違うんなよ」との質問も受けた。「つどい」で語るべきことはたくさんあるが、欲張らないで、その時に出された要求や疑問に党綱領を読み上げながら丁寧に説明するようにしている。

 約5年間で党支部は倍以上になり、いまは班に分かれて集まっている。「つどい」の取り組みを重ねるたびに、自分たちがこの町の共産党なんだという空気が生まれ、支部も自立した支部へと生まれ変わろうとしている。大事なことは、一貫してやり続けること。
 (星空の古座川町)




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# by hara-yasuhisa | 2017-10-29 12:55 | Comments(0)

息子の写真

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 公示の朝、出がけにゆう(去年亡くした息子)の小さな写真を持った。
 候補者カーのポケットにそれをかけ、12日間をともにたたかうことにした。

 生前、ゆうと交わした会話を思い出したからだ。息子たちがまだ中学生のころだったか、何度も選挙に出るぼくに聞いてきたことがあった。「なんで、落ちても落ちても出るんなよ」と。

 社会進歩のためだと、ふたりに分かるように説明したことがあった。それはまた、19歳で共産主義者をたらんと入党した動機でもあったが、後年、ゆうはその答えを、なかなかのものだと思ったと妻となった美穂ちゃんに話していたらしい。

 また、公示のこの日、遠く離れた大学時代の友人から、激励の手紙がカンパとともに届いた。入党した頃からの友人で、旧い友に元気をもらった。





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# by hara-yasuhisa | 2017-10-11 14:49 | Comments(4)

 夏が過ぎてゆく

 

 森小手穂(もりおてぼ)を過ぎ少しゆくと、貴志川線に沿ってすぐ左手にゆうの家が見えてくる。辺り一面が稲穂のみどり色にゆれている。ゆうはきっと、水田の風景やこの悲しいほど美しい稲穂のみどりが好きでここに住もうと決めたんだろうと思う。


 ゆうがいなくなってから1年少しがたった。ときが過ぎれば過ぎてゆくで、逝った直後の苦しさとはまた違う感情が芽生えてくる。それにしても、あの辛かった病室での毎日もそれからの苦しさと比べれば、ゆうが生きてそこにいたわけでまだ救われた。


 「言いたいことばが来たら、指を強く握ってよ」

 美穂ちゃんがゆうの手をもって耳元でそういう。

 「あ行から行くよお。 あ、い、う、え、お」

 ゆうの手は動かない。

「あ行の中にはないんやね」と美穂ちゃん。

「次はか行やで。 か、き、く、け、こ、・・・ないんやね」


こうして、ゆうが強く握ったのが、「も、う、え、え、よ、め、ん、と、」・・・そこから先は疲れたのか、ひとことも進まなかった。

ゆうの意志を聞いたのは、この日のこの会話が最後になった。その日から、その次に来る言葉がずっとこころに引っかかっていた。妻である美穂ちゃんは、もっともっと引っかかっているだろうと察した。


ある日、美穂ちゃんにそのことを確かめてみた。

「もうええよ、面倒かけたなあ、ありがとう・・・ゆうやさんは私にそう言いたかったんやと思う」

美穂ちゃんはそう言った。

そう美穂ちゃんから聞き、なるほどそうに違いないと思った。これが息子ゆうの最後の言葉だった。


盆に、ゆうの好きだった五島の浜に行ってみた。広い砂利浜の入り江には釣り人が一人いるだけだった。


この浜にきみが残せし足あとを夢で探しつうつつで探しつ


風は残暑に変わり、季節はせみの声からトンボの舞いに移ろうとしている。


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# by hara-yasuhisa | 2017-08-23 16:01 | Comments(0)

劉暁波の死



劉暁波が弾圧のなかで死んだ。やりきれない思いだ。


『牢屋の鼠』は彼の詩集。「霞へ」というサブタイトルがついている。霞がだれなのかは知らなが、多分奥さんだろう。




 牢屋の鼠



一匹の小さな鼠が鉄格子の窓を這い


窓縁の上を行ったり来たりする


剥げ落た壁が彼を見つめる


血を吸って満腹になった蚊が彼を見つめる


空の月にまで魅きつけられる


銀色の影が飛ぶ様は


見たことがないぐらい美しい



今宵の鼠は紳士のようだ


食べず飲まず牙を研いだりもしない


  キラキラ光る目をして


月光の下を散歩する




この詩から伝わってくるものは、ある切実さだ。しかし、この詩は平易ではない。主語や述語が入り乱れる。ときに鼠、ときに蚊、ときに壁。だが、何度も何度も読むうちに、それはみな主人公のことだと気づく。そして、かれの霞への深い愛に気づかされる。


獄につながれていて、彼は鼠や蚊や壁になって、この限られた世界を認識している。それは、とりもなおさず生きている意味を確認している。


 私はいま、獄の鼠でそこから出られないが、目は月を見ることができる。もし、きみが(霞が)、同じようにこの月を見ているならば、私と君はこの月を「美しい」と知ることでひとつになる。その月はいままでに見たことがないぐらい美しい・・・



 言論はどんな暴力をもってしても圧殺することはできない。表現の自由は、その物質的な保障を含め、擁護し、検閲を排除することではじめて成立する。劉暁波の死は、彼につづくあまたの詩人を生み出すに違いない。








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# by hara-yasuhisa | 2017-07-15 09:54 | Comments(0)

潮香ただよう叔母の家


 叔母(父の妹)さんが亡くなり親族だけのお通夜、告別式の場にいた。94歳だった。三人のいとこ達とも久しぶりに顔をあわせた。
 
 叔母の家は、日置の浜に歩いて2分ほどのところにあり、いつも潮の香がただよっていた。小さい頃からなんど遊びに行ったか知れない。行けばかならず「やすひさくん、ごはん食べていきよし」といってくれた。

 ずいぶん前のことになるが、ぼくが初めて衆議院選挙に出たとき、叔母は「兄さん(僕の父のこと)が生きてたらやすひさくんの姿を見たら喜んだやろなあ」といっていた。戦前、政友会の党員だった父は政治の話が好きだったとかで、そんなことを指していったんだろう。

 日置の叔母の家の周りには、郵便局があり、化粧品屋さんがあり、たばこ屋さんがあり、それに裕福な家も並んでいて賑やかなところだったが、叔母の家もそうだがいまはもうみんな空き家ばかりになっている。

 あの戦争をはさんで頑張った父や母、その兄弟姉妹たちもほとんどがいなくなってしまった。棺のなかで眠っている叔母の傍らで、「よう頑張ったなあ」と声をかけた。折りをみて、もう誰も住んではいない、潮の香のするあの日置の家に行ってみようと思っている。 
 
 

 


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# by hara-yasuhisa | 2017-06-29 14:18 | Comments(0)

もの言えば



 


 芭蕉を思い出した。


アベ首相がカネダ法務大臣の腕をつかんで発言を阻止し、はたまた副大臣が手をあげているカネダ大臣の腕を強引に下ろさせたり・・・、国会ではめったに見られない光景がくり広げられている。


 見方によると、自由に自分の答弁(ほとんど答弁になってないが)をしようとしてもさせてもらえないカネダ大臣、それを無理矢理アベ首相の考えに従わせようとしている周囲と、そう見えてしまう。


 もの言えば くちびる寒し 秋の風(芭蕉)


治安維持法」を議論した昭和14年の帝国議会記録を見ると、「一般の国民が対象になるのでは?」との質問が出されたが、天皇制政府は「一般国民には関係がない」と強弁している。


 実際には、政府に反対する恐れのあるあらゆる国民が対象となり、小林多喜二をはじめ数々の人たちが権力によって虐待され、虐殺された。


ときの権力に逆らってものをいえば、たちどころに身に災いがふりかかる。自由に自分の感じたことも言えない、まるで北朝鮮を見ているかのようだ。


 お隣の韓国では、朴大統領の国政の私物化が裁かれ、つい先日、国民によってその職を追放されたばかりだ。 







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# by hara-yasuhisa | 2017-05-31 22:00 | Comments(0)

 戦争には行かせない

 連休だからか、和歌山駅を行き交う人々の表情もみなどことなく楽しげな朝、憲法記念日の宣伝行動に参加した。 
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 ドイツは5月8日を「民主主義の日」と定めて、ナチスの犠牲となったヨーロッパ440万人ひとりひとりへの賠償実施から戦後が始まった。徹底した反省で、賠償にかかった費用は11兆円とか。

 イタリアの憲法施行は1948年1月1日で、大戦中のレジスタンスの流れをうけてキリスト教の思想とマルクス主義の理論とが根本にある。
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 日本の憲法が世界で注目された最初の出来事は、1957年の南極条約の締結ではなかったかと思う。国際地球観測年で、南極は米ソの対立、イギリスも加わって難しい局面にあったが、日本は日本国憲法の前文を示して南極の非軍事化を主張したのだ。

 スピーチをしていても、小声で「がんばってよ」とささやきながらゆき過ぎる人、首を縦にふりうなずきながら通る人と、心かよわせる場面がいくつもあった。
 「戦争には行かせない」のたて幕に、「ほんまにこの通りやなあ」と二人で話しながら行く人も。




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# by hara-yasuhisa | 2017-05-03 20:00 | Comments(0)


折ふしのうた


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