劉暁波の死



劉暁波が弾圧のなかで死んだ。やりきれない思いだ。


『牢屋の鼠』は彼の詩集。「霞へ」というサブタイトルがついている。霞がだれなのかは知らなが、多分奥さんだろう。




 牢屋の鼠



一匹の小さな鼠が鉄格子の窓を這い


窓縁の上を行ったり来たりする


剥げ落た壁が彼を見つめる


血を吸って満腹になった蚊が彼を見つめる


空の月にまで魅きつけられる


銀色の影が飛ぶ様は


見たことがないぐらい美しい



今宵の鼠は紳士のようだ


食べず飲まず牙を研いだりもしない


  キラキラ光る目をして


月光の下を散歩する




この詩から伝わってくるものは、ある切実さだ。しかし、この詩は平易ではない。主語や述語が入り乱れる。ときに鼠、ときに蚊、ときに壁。だが、何度も何度も読むうちに、それはみな主人公のことだと気づく。そして、かれの霞への深い愛に気づかされる。


獄につながれていて、彼は鼠や蚊や壁になって、この限られた世界を認識している。それは、とりもなおさず生きている意味を確認している。


 私はいま、獄の鼠でそこから出られないが、目は月を見ることができる。もし、きみが(霞が)、同じようにこの月を見ているならば、私と君はこの月を「美しい」と知ることでひとつになる。その月はいままでに見たことがないぐらい美しい・・・



 言論はどんな暴力をもってしても圧殺することはできない。表現の自由は、その物質的な保障を含め、擁護し、検閲を排除することではじめて成立する。劉暁波の死は、彼につづくあまたの詩人を生み出すに違いない。








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# by hara-yasuhisa | 2017-07-15 09:54 | Comments(0)

潮香ただよう叔母の家


 叔母(父の妹)さんが亡くなり親族だけのお通夜、告別式の場にいた。94歳だった。三人のいとこ達とも久しぶりに顔をあわせた。
 
 叔母の家は、日置の浜に歩いて2分ほどのところにあり、いつも潮の香がただよっていた。小さい頃からなんど遊びに行ったか知れない。行けばかならず「やすひさくん、ごはん食べていきよし」といってくれた。

 ずいぶん前のことになるが、ぼくが初めて衆議院選挙に出たとき、叔母は「兄さん(僕の父のこと)が生きてたらやすひさくんの姿を見たら喜んだやろなあ」といっていた。戦前、政友会の党員だった父は政治の話が好きだったとかで、そんなことを指していったんだろう。

 日置の叔母の家の周りには、郵便局があり、化粧品屋さんがあり、たばこ屋さんがあり、それに裕福な家も並んでいて賑やかなところだったが、叔母の家もそうだがいまはもうみんな空き家ばかりになっている。

 あの戦争をはさんで頑張った父や母、その兄弟姉妹たちもほとんどがいなくなってしまった。棺のなかで眠っている叔母の傍らで、「よう頑張ったなあ」と声をかけた。折りをみて、もう誰も住んではいない、潮の香のするあの日置の家に行ってみようと思っている。 
 
 

 


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# by hara-yasuhisa | 2017-06-29 14:18 | Comments(0)

もの言えば



 


 芭蕉を思い出した。


アベ首相がカネダ法務大臣の腕をつかんで発言を阻止し、はたまた副大臣が手をあげているカネダ大臣の腕を強引に下ろさせたり・・・、国会ではめったに見られない光景がくり広げられている。


 見方によると、自由に自分の答弁(ほとんど答弁になってないが)をしようとしてもさせてもらえないカネダ大臣、それを無理矢理アベ首相の考えに従わせようとしている周囲と、そう見えてしまう。


 もの言えば くちびる寒し 秋の風(芭蕉)


治安維持法」を議論した昭和14年の帝国議会記録を見ると、「一般の国民が対象になるのでは?」との質問が出されたが、天皇制政府は「一般国民には関係がない」と強弁している。


 実際には、政府に反対する恐れのあるあらゆる国民が対象となり、小林多喜二をはじめ数々の人たちが権力によって虐待され、虐殺された。


ときの権力に逆らってものをいえば、たちどころに身に災いがふりかかる。自由に自分の感じたことも言えない、まるで北朝鮮を見ているかのようだ。


 お隣の韓国では、朴大統領の国政の私物化が裁かれ、つい先日、国民によってその職を追放されたばかりだ。 







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# by hara-yasuhisa | 2017-05-31 22:00 | Comments(0)

 戦争には行かせない

 連休だからか、和歌山駅を行き交う人々の表情もみなどことなく楽しげな朝、憲法記念日の宣伝行動に参加した。 
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 ドイツは5月8日を「民主主義の日」と定めて、ナチスの犠牲となったヨーロッパ440万人ひとりひとりへの賠償実施から戦後が始まった。徹底した反省で、賠償にかかった費用は11兆円とか。

 イタリアの憲法施行は1948年1月1日で、大戦中のレジスタンスの流れをうけてキリスト教の思想とマルクス主義の理論とが根本にある。
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 日本の憲法が世界で注目された最初の出来事は、1957年の南極条約の締結ではなかったかと思う。国際地球観測年で、南極は米ソの対立、イギリスも加わって難しい局面にあったが、日本は日本国憲法の前文を示して南極の非軍事化を主張したのだ。

 スピーチをしていても、小声で「がんばってよ」とささやきながらゆき過ぎる人、首を縦にふりうなずきながら通る人と、心かよわせる場面がいくつもあった。
 「戦争には行かせない」のたて幕に、「ほんまにこの通りやなあ」と二人で話しながら行く人も。




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# by hara-yasuhisa | 2017-05-03 20:00 | Comments(0)

 ゆう(息子)の誕生日

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桜の花が落ち、葉桜のころにゆうは逝った。去年のことだ。あとひと月で一周忌を迎える。

 いつか三年坂通りの信号で、バイクで後から来て俺の車のリアガラスをたたき、驚く父を見て笑っていた。あれは消防局に勤務してほどなくしての頃だったが、元気な若者だった。生きていれば、きょう36歳になる。

 けさの三年坂通りは雨模様でお城への入り口は人影もまばら。「ゆう、どこにおるんな?」 この一年いくどつぶやいたことだろう、事務所へ向かう車の中で、けさもそうつぶやいてみる。

 夕刻、ゆうの家に立ち寄ると、美穂ちゃんがケーキを買ってきていた。 こんやは、お前の好きだったバクナンを聴こう。








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# by hara-yasuhisa | 2017-04-07 09:55 | Comments(0)

 若い世代と学習

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 若い世代の活動家のみなさんと始めた学習会も回を重ねてきて、次回から「家族、私有財産および国家の起源入門」(不破哲三著)の第6章にはいる。

 この入門書は、冒頭のいくつかの章が大変難解な問題をテーマにしている。難解な理由は、この数章が太古の時代の男女関係、太古の時代の婚姻形態を扱っているからである。学校で学習する人類の歴史の枠外がテーマで、この時代のことは若い世代でなくても厄介なものだ。

 モーガンは「文明時代は人類史の一断片だ」と言ったが、マルクスは「それもごくわずかな」と書き加えたと不破さん。人類史の曙に、人間が木からおりて二本足で立ってから数百万年だ。「社会」と呼べるような歴史を形成してから数万年だ。

 「人類の前史」のあとに来る「人類の本史」に生きるはるか未来の人間から見れば、現代とはどんな時代なのか。この「起源」の著者であるエンゲルスは、「・・・将来のすべての世代にとってつねにきわめて興味深い歴史上の一時代」としてふり返るだろうと書いている。

 人間社会の「前史」を終わらせ、未来社会を切り拓こうと奮闘している、今日を生きている若い世代の活動家にとって、この本は大きな世界観的確信を与えてくれるんではないだろうか。

 第5章「階級社会の一夫一婦婚」が終わった。さあ、次回は第6章「結婚と家族の日本史」・古代日本における恋愛と結婚」だ。


 (写真は、テキスト)
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# by hara-yasuhisa | 2017-01-27 16:06 | Comments(0)

 ああ、稀勢の里

 白鵬の左が入り、攻め立てた。またこのパターンかとあきらめた瞬間だった、なんと稀勢の里が土俵に残り、白鵬が前に倒れたのだ。

 外人の力士が頂点に立つようになり、日本人の横綱は若乃花で途絶えている。多くの相撲ファンの熱い期待を一番感じていたのは、稀勢の里その人だった。

 その重圧に何度も何度もつぶされてきた。実力がありながら、ここ一番の勝負になかなか勝てない。だが、今場所は違っていた。横綱を破った瞬間、限界をこえた稀勢の里がいた。

 自分を信じて進んできた稀勢の里がそこにあった。飛躍が起きた。この一語に尽きる。負けた白鵬はきっとそれを感じたに違いない。

 これから、どんな相撲を見せてくれるのかは分からない。多分、またやきもきさせられる相撲をとるのかも知れない。稀勢の里は稀勢の里の相撲をとればいいのだ。 
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# by hara-yasuhisa | 2017-01-23 21:33 | Comments(0)


折ふしのうた


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