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 遣らずの雨

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 夕立のようににわかな雨がきた。
 岩場から竿を出していた釣り人も、小走りで松の木陰に身を寄せている。

 海岸沿いの古びた喫茶店に入ってホットコーヒーを注文し、あり合せで作った弁当を食べた。店内には不釣り合いなジャズのナンバーが流れていた。

 雨が強くなった。カウンターの中から、「遣らずの雨ですねえ」と店主が声をかけてきた。もう少し小降りにならないと外には出られない。「ほんまやなあ」と僕は返した。







 
 
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by hara-yasuhisa | 2015-07-27 12:55 | Comments(0)

 けっして許さない

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 1960年(昭和35)5月19日衆院本会議。

 野党の議員たちは審議を拒否し、本会議場前でピケを張っている。午後10時半、衆院議長の清瀬一郎は議長室に閉じ込められたままだった。

 午後11時05分、清瀬はついに警官隊を動員した。警官隊とピケ部隊の乱闘のなか、清瀬は本会議場に突入、午後11時49分に自民党だけで50日間の会期延長を可決。そうしておいて、清瀬は強行策に出た。いったん散会を表明し、日付が変わった20日午前0時5分に再び開会した。

 自民党議員たちは「ざまあみやがれ」などという罵声を野党議員に浴びせながら、議場の入り口を破壊して入場した。清瀬一郎議長がマイクを握ってから「新安保」承認の採決を行うまで、わずか十五分だった。

 この強行採決は、じつは自民党内でも十分に知らされていなかった。すべては岸首相の指示のもとに進められた。 清瀬議長も多くの議員も、会期延長だけの議決だと思っていたところ、岸の側近に促された。

 自民党副総裁の大野伴睦でさえ強行採決することを議場ではじめて知らされた。 岸首相の弟・佐藤栄作大蔵大臣に抗議すると、佐藤は「はじめから知らせたらバレちまうから」と返答したという。 

 三木武夫や河野一郎は退席し、病気療養中だった石橋湛山は「自宅でラジオを聞いて腹を立てた」という。 議場突破の状況に反発して自宅に戻った松村謙三は、車中のラジオで安保可決のニュースを聞き、「日本はどうなるのだろうと暗然とした」という。

 岸の家は連日デモ隊に囲まれたが、記者団に「今日も後楽園球場は満員だったそうじゃないか」とうそぶき、自宅では普段通りにくつろいだ。5歳だった孫の安倍晋三が「アンポ反対!」と真似をしたときも笑っていた。

 6月に入るとデモはさらに肥大化した。郵政大臣の植竹春彦は 「至急来てくれないか」と岸から電話で呼び出された。 「デモ隊がNHKを占拠したら大変なことになる。すぐに警視庁と話をしてNHKの防備を固めてくれ」と。

 植竹はすぐに警視庁とNHKに出向き、対応を協議した。深夜になり再び裏口から官邸に入ると、岸は首相執務室のソファで大いびきをかいていた。植竹が声をかけると、岸はむっくり起き上がり、報告を聞き「ご苦労さん」と笑顔でいい再び横になった。 外では「安保反対」「岸辞めろ」の大合唱が続いている。それでも爆睡できる岸に、植竹は心底驚いたという。

 きょう、愚かな歴史がその孫によって再びくり返されたが、国民はけっしてこれを許さないだろう。
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by hara-yasuhisa | 2015-07-15 16:43 | Comments(0)

 ドクトル・ジバゴ

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 映画「ドクトル・ジバゴ」の冒頭のシーンは、大地を吹きぬける風が木々の葉をゆらしている。作者のパステルナークの「風」という詩。


  ぼくは終わってしまったがきみは生きている
  そして風は嘆き泣きながら森と別荘をゆすっている
  一本一本の松ではなく
  果てしない遠方から続くすべての木々をゆする
  静かな入り江に浮かぶヨットというヨットをゆらすように
  だがそれは怒りからではなく
  強さを見せつけるためでもない
  悲しみのなかできみに子守歌の言葉を見つけたいのだ


 ジバゴ に扮したオマー・シャリフの死が伝えられた。二十歳代のある日、この映画を見た。詩作するあの彼の目の輝き、ラーラを演じた透きとおるような青い目のジュリー・クリスティ、悪徳弁護士でラーラの青春を汚したコマロフスキー役のロッド・スタイガー、それから“ラーラのテーマ”のメロディ。

 パステルナークが描いたもの。ロシアの大地と自然のなかで生き、愛し、自分に与えられた使命や、生きることの意味、そして戦争の愚かさ、平和を願う詩人のこころ、胸躍らせて食い入るように映画を見、涙を流した。

 バラライカを肩にかけるトーニャのラストシーンは、若いぼくの胸をしめつけたものだった。 
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by hara-yasuhisa | 2015-07-13 22:16 | Comments(0)

 「汝、悔い改めよ」 

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 -また戦争だ。まただれにも必要のない苦しみだ。人間の野獣化だ。かたや殺生を禁じられている仏教徒、かたや友愛を旨とするキリスト教徒。双方が野獣のように残酷に殺し合い、苦しめるためにお互いを探しまわる。皇帝は軍隊を閲兵し、表彰し、新聞は恥知らずに敗戦を勝利だといつわっている。無慈悲で神を畏れない皇帝たち、大臣たち、お前たちが砲弾のなかに行け。だが、われわれはごめんだ、行きはせん。-(汝、悔い改めよ)


 トルストイの大河小説「戦争と平和」には数百人の人物が登場し、物語の構成も複雑なため多くの人が読むのを途中でやめてしまう。けど、トルストイの非戦の思想は徳富蘆花、与謝野晶子などの生き方に大きな影響を与えた。19歳だった啄木も胸をうたれたようだ。非戦思想を貫いたガンジーと交換した手紙も有名だ。

 トルストイなんかと見向きもしない方は仕方ないが、この小説は戦争の部分から読むのもいい。「アンナ・カレーニア」の読みやすさとは違い、これはほんとうにやっかいな物語だ。けど、まぎれもなくトルストイの渾身の力作だ。

 少し後輩のレーニンはボリシェビキのリーダーらしく、貴族の立場に身を置きながら反戦を説くトルストイを「矛盾している」と痛烈に批判しているが、トルストイはこのレーニンの批判をどう受けとめたのか、ぼくは知らない。

 そのトルストイはいっている。「真のキリスト教徒は自分の財産をけっして持ってはいけない」と。そして自分の持つ広大な農地を農民に与えようとするが、妻や親族からの猛反発にあい断念する。

 82歳のトルストイは疲れ、煩わしさから逃れようとしたのか家出をし、通りがかりの駅の構内で倒れ、そこの粗末なベッドで息絶えた。
 この孤高の思想家は「矛盾」のなかで逝ったのだが、ぼくはどうしても嫌いになれない。 (写真・トルストイが生まれ育ったロシアの農村風景)

 
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by hara-yasuhisa | 2015-07-12 11:46 | Comments(0)

 突発性難聴

 
 
 その朝の耳鳴りはいつもと違う不快感があった。音も大きく耳全体にボワーンと響くような・・・、それに頭がふらつく感じがする。 なんなん、これ・・・

 不快さは消えないが、出かけられないほどでもない。事務所に行き、午前の定例会議までに雑務をこなす。電話がかかってきたのでいつものように左の耳に受話器をあてた。 そして異変が起きていることを知ることとなった。

 相手の声がギンギンと耳に響きよく聞きとれないのだ。あれっ、電話の調子おかしいなあ・・・、一瞬そう思って右耳にかえてみた。すると、よく聞こえるではないか・・・

 左耳がおかしい!
 ここに至って初めて左耳の異常に気がついた。とっさに浮かんだのが、突発性難聴という病名。何人かの知人が以前これを患っていて、その話をきいたことがあったからだ。

 午後に耳鼻科の医院を訪ねた。左右の聴力を測定され、鼻や耳の奥を覗いてから、先生は「突発性難聴ですね」といわれた。 ああ、やっぱり・・・素人判断は間違っていなかった。

 その日の夕刻、白浜の自宅まで約1時間半の道のり。走りなれた高速道路だがやはり気分が悪かった。処方されたステロイド剤の副作用で強烈なめまいと吐き気に襲われたのは、次の日のことだった。まともに立っていられない。這いつくばる姿勢しかとれないし、そこへ吐き気。これには参った。

 折りよく兄が戻ってきたので、乗せてもらって地元の耳鼻科に行く。めまいと吐き気を止める薬を処方され飲んだ。1時間ほどすると効果が現れた。強烈な副作用はこれ一回だったが、軽いめまいはステロイドを飲む度に、つまり日に3度起きる。

 あれから6日間仕事を休んだ。気分のいいとき、母の葬儀のあとの雑用をすませた。それに、白浜にいる間に初盆の段取りもしないといけない。葬儀屋さんと相談をしたり、そんなことをしながらも休養をとることができた。明日、再び医院にゆき診てもらうことになっている。回復していればいいのだが・・・
 
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by hara-yasuhisa | 2015-07-05 10:11 | Comments(0)


折ふしのうた


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