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読者からの感想

ぼくの新作の小説『果無の道』を読んでくれた方からお便りをいただきました。転載します。


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『果無の道』の感想。

もっとも印象深く心に残ったのは、当たり前のことだけど、自民党政治による生活の苦難は自民党の党員にも覆いかぶさっているということです。だから、大きな問題がその人たちに降りかかってくると、自民党ではなく共産党に頼らざるを得なくなる、その辺りのことが物語の進行で自然に描かれていると思います。

主人公の綾と隣家の敏子、海宏一、この人たちの会話がおもしろい。生活がそのまま表現されていて、読む側には心地よく響きます。その心地よさが展開の早さと相まって全編を吹き抜け、読後、心に軽やかさを与えてくれます。共産党の実際の活動を知らない人たちには新鮮に映るだろうし、苦難を切り拓く方途はあるのだと希望を与えてくれると思います。

原田裕子さんの話しぶりは秀逸です。ドイツの林業の取り上げもさすがだと思いました。全国でも同じようなことがあると思いますが、そんなことに思いを馳せると随分と勇気が出てきます。『果無の道』がそういう人たちと強く結びついているのを感じます。

「あとがき」にある「作中の党員たちは悩みながら、求めながらいまを生きています。そのことによってまた未来を生きています」という言葉は、渦中を通り過ぎてきた者でなければ書けないことだと思いました。


# by hara-yasuhisa | 2022-06-29 21:20

苦闘と希望を描きたい


 ほぼ二年前に書きはじめた長編小説『南紀州』。今回、三部目が出版され完結した。
 著者のぼく自身も予想していなかった、長編どころか大河小説の長さになってしまった。

 『南紀州』の三部作を通してぼくが描きたかったこと、ひとことでそれを表すとすれば、その時代の苦闘と希望ということでしょうか。最初、それを一冊の長編小説にしようと考えていたのですが、出来上ってみれば三倍の長さになり、時代も丁度100年間、四世代にわたる萩原家の人たちの物語になってしまいました。

 年老いた読者の方は、ご自分の青春時代や親の世代が体験した戦前・戦中の苦闘に思いを馳せていますし、若い世代の方からは「こんな話、ちょっと前の時代のことやのにまったく知らんかった」などの感想をいただく。三部作完結編の『良の季節』はほぼ現代の主人公の苦闘を描いているのですが、どんな感想が寄せられるのか楽しみです。

 各地に取材に出かけましたが、やはり印象に残っているのは海外への一人旅です。これまで海外に行ったことがありませんから、難儀をすることが多々ありました。ベトナムでもウクライナでも、現地に行ってみないと分からないことだらけでした。片言の英語しか喋れないのによく行ったなあと自分でも思います。

 しかし、現地に行ってみないと分からないことがたくさんあります。こんなことなら、もっと若い時代から世界を旅しておけばよかったのにとつくづく思います。ハノイでもキエフでも、そこの人たちは暖かく親切でした。とくにいま、知り合ったウクライナの人々はどうしてるんだろうかと心配です。

 ロシアは、ウクライナがNATOという軍事同盟に加わることを嫌っています。その気持ちはわかります、しかし、その国の運命はその国が決めることです。気に入らないから武力で従わせるやり方は間違っています。それが民族自決権というのもでしょう。

 話が反れましたが、色んな人たちの苦闘と希望をもっと描きたいと思っています。文学は何ができるのか、なにを成すべきなのか、その探求をつづけたいと思っています。




# by hara-yasuhisa | 2022-02-15 12:12

衆議院選挙雑感



 結果が判明して、「予想が外れたなあ」と思っている人が多いのではないだろうか。かく言うぼくもその一人です。

 自民党が、大小の幅はあれ議席を減らすことは十分予想されました。また、れいわが議席を獲得することも予想されました。
 問題は立憲民主党と日本共産党がどこまで前進するか、個人的にはそこに注目していました。

 しかし、結果は違っていました。
 自公の減りが少なく、維新の会が大きく躍進する結果が出ました。さらに立憲と共産党が減りました。選挙後、「選挙区は野党に入れたが、比例は維新に入れました」と告白する知人が数人いました。これは何を意味しているのか?

 政治を変えて欲しい、その流れというか風が維新に吹いたということでしょう。その背景には、野党共闘が国民の不満の十分な受け皿になっていなかった、この問題があると思います。確かに、「連合」をめぐるバタバタした動きは野党共闘の魅力を大きく損ないました。

 魅力がなかったので、投票率も上がりませんでした。
 野党共闘がもっと魅力的なものになっていたなら、投票率が上がり、結果は大きく違っていただろうことは容易に想像がつきます。そんな弱点をもちつつも、候補者を一本化したところで勝利した小選挙区が増えたし、ギリギリで競り負けた選挙区も50数区あるというのは、次回の手応えという感じがします。

 さて、維新の会です。
 自公はもう嫌だけど、さりとて立憲も共産もいまいちだし・・・と思った層が維新に流れた、ということでしょう。維新の政策に共感したからではないと思います。この間、自民党に劣らないほど、維新の議員にも不祥事が多くありました。それでも、得票が多かった理由は、保守的無党派層の受け皿となったということでしょう。

最期に、市民と野党の共同はこの衆院選挙で共通政策でも、選挙協力でも、政権構想でも、これまでの到達からさらに発展させて選挙をたたかいました。しかし、まだまだ不十分な点が多々あることを浮き彫りにしました。何が不十分なのかは、言わずもがなでしょう。

ただ一言だけつけ加えると、政権を代えるという本気度が足りない、足りなさすぎる、と思いました。その責任の大半は野党第一党の立憲民主党が負っていると思います。








 

# by hara-yasuhisa | 2021-11-03 13:39

仁坂・和歌山県知事の「シングルイシュー」論


 『シングル・イシュー』というタイトルで、仁坂・和歌山県知事が『県民の友』に一文を乗せている。

 『シングルイシューポリティクス』で真っ先に思い浮かべるのは、アメリカの「黒人差別反対」の運動だが、そもそも政治的な運動とは、一つの事柄に的を絞って行われる場合がほとんどだろう。原発、地球温暖化、五輪開催などなどの反対運動は、すべて一つの事柄に反対する運動だ。

 仁坂知事は、こうした運動に敵意を露わにする。いわく、「何か一つの事柄を成就させたり、否定したりすると必ず副作用があります」という。だが、それがどうしたというのだ。原発を止めれば、原発で甘い汁を吸う勢力が「原発をなくしたら電力をどう確保するのか」などと難癖をつけるだろう。エネルギー政策を転換すればいいだけのことだ。

 また、仁坂知事は、「オリンピック反対と言ったら、それに人生をかけてきたアスリートが可愛そうではないかという気持ちはないのか」と書いている。ちょっと待ってほしい。コロナ禍で途端の苦しみを味わっている、幾百万の民の気持ちがあなたは分からないのか、と問いたい。みんな人生をかけて苦しい人生を生きているのが、分からないのか。

 過去、最大の対決点だった「シングルイシュー」は、いうまでもなく「戦争反対」だ。幾百万人の青年、国民の命が抹殺されているときに、仁坂知事の「シングルイシューは多くの問題をはらみます」などの言うのは児戯に等しいばかりでなく、政治家失格である。

 一知半解なしたり顔で「シングルイシュー」について論ずる時間があれば、コロナで明日をも知れない淵に追いやられている人々の声に「聞く耳をもつ」べきだ。




# by hara-yasuhisa | 2021-07-14 14:22

『枝野ビジョン・支え合う日本』の私見


 これをザーと読んでまず感じたことは、日本政治のいまの局面で日本共産党をどう見るかということがひとつの焦点となっている、ということだ。共産党をどう理解し、どう向き合うべきか。このことが問われる時代になっていると、『枝野ビジョン』はこのことを行間に隠しているが、なお隠し切れずにいる。


「共産党とは連立できない」論が毎日のようにマスコミを賑わしている。枝野氏がこれをどう考えているのか、『枝野ビジョン』を読む限りでは定かに分からない。この中には「野党の共闘」という表現さえ出て来ないほどに、枝野氏はなかなか難しいと考えているのかも知れない。

 この問題で、共産党の態度は前々からはっきりしていて、新しい政権のもとでは、「閣内か閣外かにこだわらない」という。要は、立憲主義をとり戻し、海外で戦争する国に道をひらく安保法制をやめる、野党共闘が始まって以来の立場を貫いている。


 

さて、枝野氏がめざす「社会像」は、ひとことで言えば、自民党の自己責任論、新自由主義に変わって「支え合う社会」を実現すること、にある。

 そして、「経済の量的な成長で国民を豊かにすることは限界に達している」、「私たちは、明治以来150年進んできた社会のあり方が今後は通用しないこと」、「これまでの延長線上で打開策を模索しても、答えは見つからない」と主張している。


 つまり、20世紀に幅を利かせてきた資本主義や新自由主義そのものが行き詰まっているというのだ。だから、新しい「支え合う社会」が必要だという。

 「近代化の加速で核家族化や都市化が進み、家族共同体や村落共同体という支え合う日本社会伝統の構造が崩れてきた」とか、「これからの社会に求められているのは、日本という社会の単位で互いに支え合い、分かち合うための機能」とか、提案している。


 さて、総選挙での野党の候補者一本化は、政権交代をめざすうえで大きな課題となる。しかし、その点での言明がない。ただ「このビジョンで任せてくれ」とだけ言う。「連合」や国民民主などからの雑音やヤジが多いときだけに、野党共闘や政権構想でのもっとしっかりとした「ビジョン」が求められる。


 立憲民主党と日本共産党の間で、日米安保や自衛隊をめぐる政策の違いは確かに大きい。だがそんなことは初めから自明のことだ。問題は、政策の違いにあるのではない。「アベ・スガ独裁政治を倒すために本気になっているのかどうか」だ。オリンピック開催の是非が問われているいま、東京都議選は『枝野ビジョン』にとって重要な試金石だ。

 

 


# by hara-yasuhisa | 2021-06-24 16:31


折ふしのうた


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